白馬岳絶唱・・快晴の山旅

お矢来すずめ

さて、今年も恒例となった (・・と言っても昨年からの事なんですが) 日本アルプス詣でに行ってきました。

そして今回そのターゲットとして狙いを付けたのは昨年の北岳についで思い入れのある山、、
高校時代に毎年購入していた「山と渓谷社のアルペンカレンダー」で目に焼き付いてしまった
ある一枚の山の写真から50年余、どうしてもあの峰道を辿ってあの山頂に立ってみたいと憧れ続けてきた・・北アルプスの女王・白馬岳。


全く偶然にも、にっぽん百名山スペシャル収録の撮影隊と遭遇、日程、コースそして宿泊小屋
まで同じというラッキーに恵まれゲスト出演の皆さんともお喋りすることが出来ました。

 

写真の左から、 山と渓谷社編集長萩原浩司氏、 元アルペンスキーメダリストの荻原次晴氏
、漫画家鈴木ともこ女史、の各ゲストも元気いっぱい、絶好の山日和の中、思いっきり白馬を
楽しんでいました。
実はこの時の放送(8月11日)を録画して何度も見ていると・・なんと私がこの写真を撮った直後の小屋の前にチラッと私が写っていました。
よ~く見てないと見過ごしそうなくらいちょこっとですが・・(^_^;)

 

快晴の尾根道を行く・・
ハクサンイチゲのお花畑越しに望む白馬三山 (白馬岳・杓子岳・白馬鑓ヶ岳) から唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳への延びやかな岩峰に、もう心は有頂天!
ただ左下へ急傾斜して見えるのは杓子岳直下の白馬大雪渓の一部。帰りはこれを下るのかと思うと・・楽しみ半分、怖いの半分。

 

白馬岳山頂2932㍍。
若き日、読んだ『強力伝』(実話を元に書かれたドキュメンタリー小説・新田次郎著)の題材となった風景指示盤も健在。
実際に昭和16年、富士山歩荷を業としていた小宮山 正氏(小説内では小宮に)が請われてこの指示盤 (台座に乗っかている石盤) 五十貫を一人で担ぎあげたというのです。
当時、荒れた登山道と雪渓を特製の背負子で二日がかりで荷揚げした小宮山氏はその後二年を待たず体調を崩し亡くなったとのこと。 『強力伝』では人間の限界を超えた壮絶なる格闘ぶりが読む者の血潮までも熱くさせる程の描写で書かれていましたが、当の石盤も文頭で健在とはしたものの、 何さま80年近い只ならぬ風雪に耐えながらも、山脈と山名を刻んだレリーフは読み取るのに苦労するほどの状態でした。

 

白馬岳山頂からの文字どうり360度の大展望・・ヤッホ~!!
右から剣岳と左へ立山連峰、黒部の山々、そして左奥にはあの槍ケ岳。画面には入ってないですが、右枠外に加賀の名峰白山。対する左枠外には八ヶ岳、昨年登った北岳や南アルプス群、北に目を転じれば妙高、戸隠の山並み。そしてやっぱり日本一の山、富士さんです・・
遠くて小さいですが、しっかりとお姿を見せてくれていました。

 

杓子岳から望む白馬岳と日本最大の収容人数を誇る山小屋・白馬山荘(800名収用可能)。
まだ夏休み直前という時期のため200名程の宿泊客でしたが、ここまでの登山道中はさすがに富士山、穂高・槍と人気を分ける山のこと、往来の賑やかなことといったら・・特に妙齢の山ガールたちが・・!!。

 

そして今回のメインエベント白馬大雪渓下りですが、そこいら中、大小の落石だらけで、これ全部今年の春からの雪解けの産物だと思うと相当な緊張感を強いられました。
大きいものでは1㍍を越えるものもあり、怖々大急ぎで下山したのですが、何度も滑って、転んで、尻制動を繰り返すこと2時間の格闘の末、何んとか無事白馬尻小屋に無事辿りついた次第です。
昨年の北岳でもそうですが、アルプスと名の付く処は景色だけではなく四国の山レベルでは同位出来ないスケールのリスクを孕んでいると痛感・・ヘルメットと本格アイゼンは来年のアルプス詣でまでには装備することを肝に命じました。

 

今回の山行は本当にお天気にも恵まれ、しかも念願のライチョウにもやっとめぐり会うことが出来ました。(母子3羽)夕暮れの白馬山荘のテラスの下5㍍程の距離のハイマツの茂みの横で、母鳥はただひたすら直立不動でヒナが草花をついばんでいるのをじっと見守っていて、その周りではまだ10㌢にも満たないヒナたちの一心不乱に花芽をついばむ愛くるしい姿は、私にとって山の忘れられない思い出となるものでした。

当然カメラを向けたのですが、夕日が落ち薄暮の時間帯で例によって私のカメラワークの未熟
さ故に紹介できる写真がないのが悔しいです。

 

これまで見て戴いた写真のそのままに空の青さが群青色に近い程澄み切っていて、これが3000㍍の混ざりっけのない大気なんだと実感、その向こうにある宇宙の存在にまで想いが突き抜けていきそうなブルーでした。

 

もうひとつ、北アルプスの女王と云われる花の白馬岳は、8月の最盛期には早すぎましたがそれでも栂池高原からの道中は嬉しすぎるほどの花回廊でした。
花の百名山で白馬岳を代表する花とされるコマクサには開花時期尚早と諦めていましたが、それでもすずめにとっては初対面の花が盛り沢山で帰ってからの調査に心躍る思いとなりました。

日本アルプス花回廊編はいずれまた・・。

コメント: 7
  • #7

    桜餅 (月曜日, 17 9月 2018 15:07)

    すずめ様、今日は。いつもありがとうございます。

    立山の散歩、、の写真、後日投稿いたします。景色の写真だけで、申し訳なくも動植物の写真はないのですが。(雷鳥は撮影しようと思ったのですが、曇天の中、かなりの距離があり私の携帯カメラではズームをしても撮影ができませんでした。)

    雪の大谷、をご覧になられたのですね。いつかは見てみたい、とおもいます。近年は温暖化もありますし、確かに雪の壁のゆるみなどは心にとめるべきのようにも思われます。

  • #6

    お矢来すずめ (金曜日, 14 9月 2018 22:03)

    さくらさん、夏の最盛期に立山に・・室堂方面ですか?。

    雷鳥のベビー達も、これからの厳しい寒さに耐えられる大人に育っていたんですね。今や日本アルプス全体での生存数が数千羽しか確認されていないらしく、彼らにとってはアルプスの峰々ももはや安全に暮らすことが難しくなって来ているようですね。天敵のワシ・タカやヘビ、キツネ、サルまでがどんどん高山帯に進出していて雛を襲っているとのこと・・逆にヒトが近くにいる所(登山道脇や山小屋の周り)のほうが彼らには安全地帯となっていてそれだけ目に触れることが易しくなっているんですね。何だか複雑な気持ちにさせられる状況ですよ。

    8月の北アルプスと言えばまた、高山植物の花々が繚乱するいい季節に行かれましたね。私は30年ほど前の6月頃に室堂へ行ったのが最初で最後ですが、この時はさくらさんと同様、登山ではなく例の雪の壁を縫って走る観光バスツアーでした。見上げる高さの雪の壁に小心者のワタシはいつ崩れてくるかもしれない恐怖に・・早く通り過ぎてくれるよう心底祈ってました。ちなみに、海外旅行なんかで飛行機に乗らざるを得ないときなんかも、いつも神様にお願いをしている始末です。

    立山の風景や花の写真は当然撮られたと思います・・是非、ブログアップをお願いしたいです。

  • #5

    桜餅 (木曜日, 13 9月 2018 23:00)

    すずめ様、こんにちは。
    五十貫は190キロだったのですね!誠に失礼いたしました。修正を下さってありがとうございます。

    人間技ではないですし、もうそのような「使命だけで動く」なんて日本人もいなくなっているような気がします。
    個人的にどうも理科の分野、気象やら諸々が大変苦手で新田次郎の本を一冊も読んだことがありませんが、コメントを拝見して興味深く思い、心にとめていつか手に取りたいと思いました。

    すずめ様の白馬岳登山の丁度ひと月後に、私も4枚目の写真でご覧になったという立山連峰に参っておりました。(すずめ様は本格登山ですが、こちらは散歩の類です。立山のトレッキングコースに参りました。)
    ですから、この登山記は一入懐かしく共感しながら拝見をしました。ひと月たってご覧になった雷鳥はもうベビーがかなり大きくなっているのを見ました。

    穏やかな低い山並みの故郷も美しいですが、急峻な山並みのアルプスは多くの登山のドラマが生まれる厳しい感じがまた違った魅力に思えます。

    また、登山をなさったときには是非素晴らしいお写真とともに登山記をお寄せくださいませ。
    姫様が、ご自身も登山をなさっているつもりで楽しんでおられるとコメントを寄せてくださっておりましたが、私もそのようなつもりで楽しませていただきます。

  • #4

    お矢来すずめ (火曜日, 11 9月 2018 20:58)

    さくらさん、いつも子細なるコメントを戴き大変嬉しく思っています。

    そこでチョッとだけワンポイントアドバイスを・・
    白馬岳山頂に風景指示盤を設置するため小宮山氏が担った石盤は五十貫と言われていますが、これは㌔グラムに直すと190㌔に近い重さなんですね。ホントに想像も付かない重さですが、小説内では小宮のふくらはぎは樽のように膨れ上がり顔面は土色に腫れ目は真っ赤に充血し、とても人の顔とは思えぬ形相を見せて担ぎあげたとのこと。石盤を山頂におろしたあと真っ赤な血尿を放ったとも・・。

    これは、常人の為せる業の限界を超えた男の壮絶な物語として描かれたものですので、心優しき女性には刺激が強すぎ読み物としては非向きかも知れませんね。

  • #3

    桜餅 (日曜日, 02 9月 2018 15:37)

    すずめ様こんにちは。
    今年もアルプス詣でにいかれたのですね!ご報告を楽しみにしておりました。

    アルプスに至るまでには、高校時代のカレンダー購入や新田次郎の著書から長年温めてきた思いがおありになるのですね。
    私は強力伝を読んだことがなかったので調べてはじめて知りましたが、なるほど、まさに小説その舞台に足を運ばれたということで、感慨も一入でいらしたと思います。(五十貫は90キロ超なのですね!常人では考えられません)風景の指示盤もまだ現役でそこにあるのも不思議ですね。

    穏やかに低い山が連なる瀬戸内とはまた違う別世界の景色は、それも魅力ですよね。写真からもその迫力が伝わってきました。
    天候にも恵まれて、空気が澄んで美しい景色を堪能なさったご様子も伝わってきました。

    今回は雷鳥の親子に遭遇なさったとのこと、また、百名山のロケとも遭遇なさってきっと忘れ得ない登山になられたことと思います。

    次には、また白馬の花もご紹介いただけるとのこと。前回の北岳のような固有種もあるのでしょうか。急がず楽しみに待っております。

  • #2

    お矢来すずめ (水曜日, 22 8月 2018 20:56)

    のたりさん、「あっちむいてホイ」は言い得て妙、そのとうり数秒のことですけど・・すずめにとってはメジャーデビューですから大事に保存しておきます(^O^)
    普段、身近な四国の山では体験できない3000㍍の高度感は昨年の北岳のときもそうでしたが、ずっと軽い頭痛がしているんですよ。耐えられないほどではないですし、2500㍍付近まで下りるといつの間にか忘れている程度のものですから。
    そして、今や中高年の登山ブーム真っ盛り、、時間的、金銭的にも余裕の熟年者の持てあますエネルギーの矛先が手近な山登りで別世界の体験ができるんですから当然のことかも・・。今回私は白馬大雪渓を下りましたが、逆に4時間近くかかる雪渓登りを妙齢元気おばさん、ガキオヤジ~さん(皆さん70代くらい)の団体(20名ほど)がワイワイキャ~キャ~ですから・・昔の年寄りの世界とは次元が違うんですよね。

    ですから、私たちFAKUTも、またひみこさん、さくらさん、姫さんも負けずに何かアクションを起こして時流に取り残されないよう・・ガンバリましょう!!

  • #1

    ひねもす・のたり (火曜日, 21 8月 2018 21:46)

    すずめさん「花図鑑」に続いての「アルプス」投稿有難うございます。
    昨年の北岳に続いての夏山第二弾ですね。

    掲示板に書き込まれていましたが…お矢来すずめTV出演かとワクワクしましたよ。あくまでも主役は白馬岳・主演者は三人組という事でカットされたのでしょうね。
    白馬大池山荘の場面で「あっちむいてホイ」のすずめさんが、ほんの数秒いるのを確認しました。

    それにしても3000㍍級の山に登るって年齢を考えれば尋常と思えない体力。
    本文中に「妙齢の山ガール」とありますが、やはり似た年齢のお方々ですか?

    TV放映の何処かの場面で「寒さ」を強調するナレーションがありましたが、7月でこんなにも残雪があるのには驚きです。
    大雪渓下りですずめさんが苦闘してた頃、我々下界では35度くらいの酷暑で辟易としていました。