花も笑う・・

お矢来すずめ

 

山が笑えば、そこに根を下ろす植生も春を待ちかねたように芽吹き、競うように如何に有利に種の展開を果たし得るべくそれぞれの戦略を持って一所懸命に花を咲かせているのです。

日毎に増す暖かな日差しによって大地に温もりが蘇えりそれに伴い様々な花々が咲き誇りヒトにとってもこれからの山歩きをより楽しく彩り多いものにしてくれるのです。

 

以下は、今回の西赤石山行で見掛けた花たちです。

 

ニホンタンポポ・・大永山トンネル付近で見掛けました。あえてニホンタンポポとしたのは、一見同じように見えるタンポポも今や日本中で見られるタンポポの8割方がセイヨウタンポポが占めているらしいです。

大雑把に解説すると繁殖力の違いでセイヨウの方は受粉を必要としないクローン形式の種子で軽くて高範囲に多くの種を綿毛に乗せて勢力範囲を広げているというのに、方やニホンの方は虫などの他家受粉を必要としていて種子も重くしかも少ないため綿毛で飛ばせる範囲も限られることから昔からの里山や神社仏閣周辺など今までどうりでしか勢力を伸ばせていないというのが現状のようです。

お天気のいい日、そよ風に乗ってふわふわとタンポポの綿毛が飛んでるのを見かけたら・・それは?


ヘビイチゴ・・

最初この花を見つけて撮ったときこれは何だ・・と?。何のことはない葉っぱを見れば一目瞭然イチゴでした。野イチゴとは相対し、毒イチゴと伝えられ無実の風評をずっと受けて実も美味しくないことから名付けられた差別的な命名に精いっぱいの抵抗をするかのように可憐な花を咲かせてこの赤石山系にしぶとく根をおろしていました。

モミジイチゴ・・

こちらは葉っぱがモミジの様だからとして可愛らしい呼び名。毒を持つと偏見されたヘビイチゴとは違いその実も木イチゴの仲間では甘みも強くジャムや果実酒にもよく使われるそうです。

 

 

 



タチツボスミレ・・

山の春をいち早く告げるのは足元に咲く小さなスミレ達・・その代表的なのがタチツボスミレ。2cmにも満たない花ですが珍しく3密に肩を寄せ合って咲いていました。

ニョイスミレ・・

山野に自生するスミレの中でも白系は数が少ない貴重種といえます。

 

 



フモトスミレ・・

上のニョイスミレに良く似ていて間違いやすいのですが、葉っぱが全く違うので区別出来ます。それぞれ1cm(ニョイスミレ)、5ミリ(フモトスミレ)程の花冠なのでピントを合わせるのに苦労します。



ミヤマカタバミ・・

今回、一連の山行で出逢えた御新規さんです

コメツブツメクサ・・

これも御新規さんでした

 

ムラサキケマン・・

以上、御新規3連チャンでした。



オオカメノキ・・

西日本の山岳地でよく見掛けていたのですが、私は最初ノリウツギだとばかり思っていました。この手の樹木花はミズキ系やヤマボウシなど一見、見た目が似ているので間違いやすいのです。件のオオカメノキは葉っぱが亀の甲羅に形が似ているからだとか・・。

ヤマハタザオ・・

石鎚山頂付近に咲いていたシコクハタザオとは花付きは似ていますが、それよりも標高の低い日当たりの良い灌木帯で見掛けられ、葉っぱも全然違っていました。

 

 

 

ヤマザクラ・・

里のソメイヨシノとは装いは全く異にしていて、ピンクの花と紅葉したような葉が一緒に芽吹き、その色合いやグラデーションに落ち着いた趣が感じられ見とれてしまいますね。

 

 



ミネザクラ・・

ヤマザクラ系の交雑種で西赤石への稜線、東山付近で見掛けました。ほとんど散り落ちていてこの二輪だけが咲き残っていてくれました。固有種のイシヅチザクラの開花にはまだこれから・・。

ジシバリ(地縛り)とオオジシバリ・・

同系の花でよく似ていますが、花冠の大きさとこれも葉っぱの違いで見分けることが出来ます。

 

 



ツガザクラ・・

この山域が日本の南限とされるツガザクラは一分咲きという感じでした。

 

ミヤマハコベ・・

ハコベ類は村里でも良く見かけますが、山のそれは凛とした気品が漂っていますね。葉っぱも厚みがあって生命力に溢れている様に感じます。



ミツバツツジ・・

この赤石山系はツツジ科の宝庫となっていてよっぽど土質や生育環境があっているんでしょうね。このミツバツツジ系をはじめツガザクラ系、ドウダンツツジ系、シャクナゲ系などそれ毎に数種類が掛札で確認出来ていますが、それぞれ開花時期が少しずつずれているのでその全てをマイカメラに収め得られた暁には一同にレポートしてみたいと思っています。


アケボノツツジ・・

5~6㍍もある樹高いっぱいにピンク色の花を咲かせていました。


カラマツ林・・

カブト岩からの下山途中のこと、薄黄緑の涼やかな色が目に飛び込んで来ました・・

そこだけ周りとは違う風が吹き抜けているようなメルヘンチックな雰囲気を漂わせています。


ヒトにとっては時として様々な災禍をも持たらす大自然・・そしてその営みは無窮・・。

 

♪ 花は 花は 花は咲く いつか生まれる君に~

花は 花は 花は咲く わたしは何を残しただろう ♪   チュンチュン ヾ(((o^Θ^o)))ノ"彡

コメント: 3
  • #3

    お矢来すずめ (木曜日, 16 7月 2020 21:32)

    のたりさん・・投稿の度、いつもお世話になっています。
    この度のアップにはまた新しいテクを使って面白い校正を導入してくれ、私の意図をより濃く見やすいものにしてくれましたね。

    サイトを運営されることの様々なご苦労は私などには及びも付きませんが・・私の勝手気ままなブログ投稿の機会を与えて戴き、なおも手数を惜しまないお気持ちにいつも、いつも有り難いな~と思っています。

  • #2

    お矢来すずめ (木曜日, 16 7月 2020 20:58)

    ひうちさんのコメント・・まさに私の想いなり意図とするところそのままを汲んでくれていて我が意を得たりと思わず膝を打ちました。
    ヒトを中心にして見る世界では無く、自然界の移ろいに耳目を澄ませて見つめる世界・・私にとっての山野草はヒトなど及びも付かない多様性や対応力を持ってある意味何とも空恐ろしい生命力を獲得しているように見えるんです。

    ひうちさんの西条近景レポート・・そこにもファインダーを通して見つめるふるさとの自然や四季の移ろいへの深い憧憬を見て取っているのは私だけではないと思いますよ。

  • #1

    ひうち灘 (水曜日, 15 7月 2020 21:19)

    花も笑う・・
    掲載された数々の花を見せていただきました。
    すずめさん今晩は。
    よくぞここまで花の説明が出来るものですね~。
    撮影した枚数や質共々素晴らしいの一言です。
    さらに言わせてもらえば、あのハードな登山をこなしながら花々の撮影・・ウム・・
    私には全く考えられません。ハードでなくてすずめさんのハイキング程度の登山でも、私はシャッターを押す気にもなりませんよ。
    きれいな花の写真を見たり、豊富な知識に裏打ちされた内容の小気味よい文章を読ませてもらったり。。
    最高ですありがとうございました。

    ・・すずめさん。いつまでも故郷の自然が守られ、続いていくことを願うばかりですね・・