東赤石山から・・残暑お見舞い!

お矢来すずめ

みなさん、お久しぶりです。

今年も立秋を過ぎたというのに、コロナも熱中症もまだまだ油断はできない日々が続いています・・

くれぐれも自己防衛に怠りなくお過ごし下さいね。

併せて古来より言い伝えの二百十日後の台風襲来にも万全の御注意を・・。

 

さて、5月の西赤石連峰踏破のあとは私もシルバーの草刈り作業が盛況となり雨降り以外は連日の出動となって

いて、7月などは雨での4日間のみ休みという状況の下・・やっとお盆休みで久しぶりの3連休の初日・・

狙い澄ましたかのような雲ひとつない快晴の空を目にした朝6時・・

バタバタと朝めしをかき込み御用も済ませザックに最小限の装備を放り込み・・8時には筏津登山口に取り付く

ことを得ました。

 

西をやったら東も・・とばかり愛車ダイハツハイジェットを駆る事50分、件の大栄山トンネルを抜け西赤石登山口・日浦からもう10分少し下った所、看板の向こうの踊り場が山頂まで息付く暇も無い四国屈指の急登行と知られ同時に道迷いも頻繁に起こる難関ルート東赤石山の出発点です。

 

しばらくはひんやりとした樹林帯を黙々と足を運びます。

 

1時間ほど登ると登山道右手下から滝の轟音が耳に響きカメラアングルを求めて下りてみようとしたのですが・・とても怖くて近づけませんでした。

私の登ったこの筏津からの登山ルートは瀬場谷という渓谷に沿っていて水量豊かな渓谷が見透かされ大小の滝の音にも山の脈動が感じられ自身にとっても励まされながらの登行でした。

下山後、地図アプリで調べると八間滝という名前が付いていました。

 

八間滝を見やったこのあと少しで、登山道は渓谷右岸から左岸に渡渉し暫らくすると急に明るい日差しが差し込むミズナラの林を行くことになるのですが、ご覧の如く大小の岩石を踏み越えながら避けながらの登行となり、当然踏み跡も付いてなくて登山道に付きものの道しるべとなる赤テープ(注1)を探し探ししながら、それでも2回ほど赤テープを暫らく見ていない事に気付いて最後に見たテープまで引き返したりもしました。

 

射し込む日差しがきつ過ぎてミズナラの葉っぱに乱反射しその分余計に赤テープが見えにくい事も原因しました。

(注1)全国各地の一般登山道には道迷いを防ぐために道沿いの木の幹や小枝に目線レベルの高さで状況に応じて10~数十メートル間隔に巻かれたビニールテープが施されています。おおかたは赤系統なんですが、黄色や青色のところもあるようです。

 

やっとこさ空が見える稜線まで辿り着くことが出来、見上げたブルースカイに一筋の雲が湧きたって・・

もうちょっとだよ~と手招いてくれてました。

 

標高差千メートルの最後の胸突き八丁を自らの影に先導されつつもハ~ッ、ハ~ッと大きく息を弾ませ

気分はバテバテ・・

ずっと眺望の無い樹林帯をひたすら無事の登下山を自問しながら稜線まで辿り着くこと4時間近く、

そしてそこには・・

 

山はご褒美に大好きな花々を添えてちゃんと待っててくれました。

四国屈指の花の名山でもあるこの東赤石山は珍しいカンラン岩が露出していてこの山域でしか見掛けない固有種もいくつかあるそうなんですが、最盛期は6月から8月初旬とのこと、果たして・・


シラヒゲソウ・・最初に見つけたのがこのシラヒゲソウでちょっとすぼみ加減ですが私の花図艦でも初見参です。

 

何かの蕾? カシャッ!! 下山して早速調べてみるとシモツケソウ(白)の開花前でした。

山頂直下の灌木帯ではそこここに紅白のシモツケソウが咲いていて嬉しくなりました。

 

タデ・・" 蓼食う虫も好き好き"と言われたりもしてますが、古来より薬用としてヒトも重用していたそうですよ。

 

キツネノボタン・・この東西赤石山系ではもうお馴染みの花になっています。

 

シロヨメナ

 

シモツケソウ(赤)・・下野の国・現在の栃木県の山間部で多く咲いていたことからこの名が付けられたとのことです。

 

オトメシャジン・・今回のお目当てはこの花で東赤石山域でしか見掛けられない固有種でしかも県絶滅危惧種です。

ちょっとすぼみ加減ですがもちろん私にとっても初見参です。

気候変動と心無い人間の盗掘によって植生がどんどん細って来ているそうで何んとも切ないです・・。

 

白いオトメシャジン・・ラッキーなことに突然変異のオトメシャジンにも遭遇できました。こちらはしっかり開いています。


 

そんな山の神さんが用意してくれた花々にカメラを向けながら最後の岩嶺帯の急登を登り切り、ほぼ20年振りとなる

東赤石山頂に立つことが出来ました。背後の眼下には新居浜市街東部が見晴らされる筈だったんですが・・

赤石山系は海からの距離が短くそそり立っているため午後は雲が湧き立つことが多いようです。

 

カメラを90度西側に向けると・・遠くたおやかな稜線を見せてくれているのは西赤石の時の眺望と全く同じで

平家平から笹ヶ峰、沓掛山、黒森山への連なりが望め、さらにその向こうの左と右に薄っすらと伊予富士方面と

石鎚がそれぞれ見透かされます。

 

北面は湧き立つ雲で360度の眺望とはいきませんでしたが、東側には伊予小富士の赤星山、南には大座礼山や

高知方面の山々も深緑のベールを纏って静かに鎮座していました・・が、山頂到着が12時を過ぎていたのでゆっくり20年振りの東赤石山を堪能することもそこそこに弁当を遣ってすぐ下山となりました。

山行中で道迷いが起きやすいのは下りの時で、どうしても転倒が恐くて足元ばかりを見ながら下るので周りの状況把握に怠りが生じ易いのです。

急登で酷使した左膝や体力への不安や登りでやらかした道迷いも不安材料となって慎重に一歩一歩山を下ること

3時間ほど、樹林帯ではヒグラシやツクツクボウシが鳴き響き、山の秋の訪れを体中に感じながら筏津登山口に

無事4時前に帰り着くことが出来ました。


(山の花・・余話)

 

オウトウヒレン・・昨年の5月、石鎚山の土小屋ルートをレポートしました折、登山道脇の笹の葉の間から見えた謎の植生・・

(写真左・開花前)・・ですが、ひょんなことからこれがアザミの仲間でオウトウヒレンという四国の高山で稀にしか確認出来ていない珍しい花だそうで、やはりこれも絶滅危惧種なのです。

他の花を調べていて偶然行き付くとなにか拾い物をしたような・・霧がはれたような気持ちになります。

(写真右・開花後・・他の図艦からお借りしました)


 

山を歩いていていつも思うのは同じ山、同じコースであっても思わぬ花との出逢いがあり、また山そのものに新たな気付きや発見がその都度目にも心にも鮮やかに映え焼きつくのです。

 

山は逃げない・・山はいつも自・然・体・・。     チュンチュン ヾ(((o^Θ^o)))ノ"彡

コメント: 4
  • #4

    お矢来すずめ (木曜日, 01 10月 2020 19:54)

    ひうちさん・・和名・赤星=アンタレスが赤星山の呼び名由来に何がしか因縁があるのかもと思うだけでもロマンチックな気分になりますね。来年の赤星山山上に赤く輝くアンタレスのレポートを今から楽しみに待っています。

    ここで私からのお知らせです。
    10月4日(日)朝7時45分NHK総合の番組・・さわやか自然百景では「愛媛 東赤石山」が放送予定です。私が登ったコースと同じなのかどうかは分かりませんが、放送予告編ではオトメシャジンを始め花の名山としてのレポートが満載のようですから、御興味とお時間の許される方は是非にも・・チェックオン!

  • #3

    ひうち灘 (日曜日, 20 9月 2020 07:04)

    すずめさんおはようございます。
    先だっては私の写真について、過分に褒めすぎだろう(どうも~と笑うしかない)、、のコメントをいただきありがとうございました。本当は挫折手前のヨレヨレの状態で西条近景等を撮ってます(笑)。

    私的雑感についてですが、さすが捉えどころが素晴らしい。伊予富士と赤星山の呼び名を言い換えればと、なるほどなあ~と納得出来ました。
    でもやっぱり西条のみんなからつつかれますよね・・。

    今回赤星山について色々調べていく中で次の様な、わたくし的には面白い記述に出会いました。
     夏、さそり座が南中してアンタレス(和名:赤星)がこの赤星山の真上に来る
     赤星は古来豊年星と呼ばれて農耕の神とされ崇められていた
    とのこと。昔の人も赤い星がこの山の上に来るのを知っていて見ていたのでしょうね…。
     読むと同時に即撮影してみたいと思い立ったもので、来年の良い目標の一つとなりました。

  • #2

    お矢来すずめ (月曜日, 14 9月 2020 16:03)

    ひうちさん、、20年前のオトメシャジンの記憶といい、伊予小富士・赤星山へのこだわりといい山や自然風物への深い思い入れにはいつも刺激を受けていて私自身の活力にもさせてもらっています。
    毎日の朝夕に垣間見る山々にも一年365日、それぞれの表情に味わいがあり私も日常的に意識しているところなのですが、、愛媛新聞に掲載されたひうちさんの「パール伊予小富士」を見た瞬間は本当に衝撃的でした。誰も発想しえない着眼点と緻密な調査による位置取りとその瞬間を待ちうける粘り強さには恐れ入るばかりで、ブログ・西条近景の作品も含めその秀逸さはアマチュア写真家の域を超えた世界に到達されていると感じています。

    赤星山は旧土居町のシンボルではあるんですが、独立峰であるため他の山に干渉されないで西は今治からも紛うことなくすっきりと伊予小富士としての山容を見せてくれるんですよね。もちろん我が西条の何処からでもいつも東の空にニョッキリ聳えているのが望められるんですが、、意外とその存在と名前も知らないヒトが多いのでちょっと残念に思っています。

    (私的雑感)・・寒風山と東黒森を結ぶ稜線の一角にある伊予富士を改め伊予小富士に、赤星山を伊予富士と言った方がそれぞれの山の形容からしても的確ではないかといつも思っているのですよ・・西条の皆んなから怒られるかな・・。

  • #1

    ひうち灘 (水曜日, 09 9月 2020 19:13)

    すずめさんお久しぶりです。
    いつもながらの素晴らしい山登りと花のレポートありがとうございます。
    私も20年程前に東赤石山に登りましたが、すずめさんの様な花の記録や記憶はまったくありません(どうも^_^;)

    ブログを読ませていただいて2点ほど・・・
    1点目は文中にあった花の名前「オトメシャジン」の事です。
    丁度20年程前でしょうかTV放映された花の百名山シリーズ中の石鎚山・東赤石山で、ナレーターの女優渡辺美佐子さんが「オトメシャジン」を紹介していました。艶のある声でちょっと気怠そうに語る「オトメシャジン」の声が…今でも思い出しますね。よかったな…
     
    2点目ですが「伊予小富士の赤星山」とありますがこの事についてこの場をお借りしてすずめさんにお礼を。。
    と言うのが本年新聞の写真投稿欄に「パール伊予小富士」が掲載されましたが、この写真のヒントとなったのがすずめさんと交わした山の話からなんです。赤星山の頂上に満月がかかっている写真です。
     山談義の中ですずめさんが言っていた「赤星山は伊予小富士と呼ばれている」を聞いて、満月といえばパール富士で固まっている私の頭の中でパール伊予小富士になり、以降満月と赤星山にこだわり撮影を続けていたものです・・ありがとうございました。

    それにしても
    すごい登山のパワーと花のレポートですね~!